ひとつに棲むということ

患者にとって、本当の豊かさとはなんなのだろうか。

 人によって期間に差は生まれるが、長い入院生活は、普段の自らのテリトリーを超えてプライベート→パブリックという住み方が一瞬にして変換されてしまう。このことが要因となり、全く身に覚えのない空間へと180°転換したものと自然と認識してしまうのではないだろうか。また、病院という冷たい素材感、空間的振舞いによって、気持ちの抵抗が無意識的に働いてしまうのではないだろうか。患者にとって、入院生活の中で一番長く過ごす空間は、病室であると思われる。今回は病室とは、に視点を当てていく。

 

 病室は、患者が長く過ごす空間である。そのため環境に配慮し、プライバシーを守りつつもオープンであり、個々にとっての豊かさが求められる。今となっては個室型病室が普及しているが、孤独感と静寂、そしてそこには人と触れ合う環境が備わっていなく果たしてそれが豊かさであるのか疑問が生まれる。物理的・人工的豊かさではなく、自然的豊かさを創出できるような建築的環境と、この空間効果が来訪者を巻き込み、さらにはスタッフにとっても豊かさを感じられる“空間”を提案する。

第4回医美同源デザインコンペティション 優秀賞

△ click pic !